□月 ●日  No1019 田畑を守れ


豊穣のカミ 秋穣子から農業資材一式の注文を受ける。
びっくりするのはメーカー名から商品名に至るまで細かな指定があることである。
自称現人神の注文でもここまで専門的にはならない。
面倒なので商品一式をホームセンターで仕入れてしまった。 農業資材用ホームセンターはとても便利だ。


豊穣のカミは外の世界の神とも密接に連絡を取り合うことができるらしい。
たとえば天候などは地域ごとに連続して起るものだし、遠い土地の海水温の変化を感じ取れば
それに合わせた調整作業を行うようになっている。


豊穣のカミからの注文で品種改良がなされた野菜の苗が指定されていた。
幻想郷の環境に問題が出るのではと里香女史に尋ねると、昔からやっていることなので問題は無いという。
その証拠に、彼女が大好物の甘藷(サツマイモ)は外来種だというのだ。


甘藷を世に広めたという青木昆陽は後に芋神と呼ばれるようになっている。
芋神と呼ばれるということは神格化のプロセスを経ないといけない。
神格化のプロセスとはカミとの迎合を意味する。 誰と迎合するのか、彼女しかいない。


幻想郷で品種改良された作物を大量導入することはしないらしい。
あくまで幻想郷の維持に有効なものだけを選抜して導入しているという。
なら外の世界の作物を積極導入すればいいのではないかと里香女史に尋ねたら、
味が良くても幻想郷に向かない作物は数多くあるらしい。
幻想郷に向かない作物とは手の掛る作物のことである。
重要なことは十分な生命力だと言われた。


豊穣のカミに商品を納品した次いでにベニアズマについて尋ねたら
今食べてる奴が好みだから今でいいと言われた。
実はフィーリングだけで決めているのでは思って唖然としてしまった。
後で考えてみたら神様のフィーリングは間違いなのだからそれでよいのだが
それはそれである。


納品した農業資材はいつ使うのかって?
聞いた話では夜に皆で撒くらしい。。
幻想郷の田畑が具体的にどう守られているのか垣間見たような気がした。