□月 ●日  No1041 コーラまいったのう


唐突に喉が渇いたので近くの店に滑り込む。
よく幻想郷は自然が残っているので小川の水が飲めるとか、行水ができるとか色々言われているが
正直言ってあまりオススメしたくない。 
あまり風呂に入っていない妖怪たちが水浴びしているところを見て以来恐ろしくて飲む気がしない。


滑り込んできた先は酒場だった。幻想郷の場合喫茶店と酒場をほぼイコールである。
それだけ酒の消費量が多いとも言える。
そこで聞こえるは、どこかで聞き覚えがある声。
それは声を荒げる自称現人神だった。


何事と思って聞いていると、コーラを頼んだらお酒が出てきたという。
幻想郷にもコーラがあるのだと喜んで注文したら違うものが来たと主張したいらしい。


そもそもコーラはお酒で割るものとして作られたことは意外と知られていないようだ。
顕界でコーラと言われたらコーラの炭酸水割りのことを差す。
だが幻想郷では酒で割るのが常識なのだ。 
お店の人にもこれには困惑していた。 当然だ。
とりあえず炭酸水割りだと伝えるのに大変苦労した。


コーラの話が出たのでふと思い立って普段は行かないところに足を伸ばす。
それは妖怪の山の奥に住んでいる。
西洋の仙人の一種と言われ、毎年12月末になると子供達にプレゼントを渡す。
そう彼こそサンタクロース。
コーラ飲料のせいで幻想入りした本当のサンタクロースだった。


もちろん赤い服を着たあのサンタとは姿形も全然違う。
だが彼の姿こそ本来の姿であると言われている。
皆がよく知る姿は飲料メーカーのタイアップで生まれた姿なのである。
適当に世話話をして帰ったが、なぜか大黒様と混同されて困っているらしい。


個人的には諦めろと答えるしかなかった。
そのサンタはメタボではなかったからだ。