□月 ●日  No1044 レディファースト


ヴァンパイアの主人が馬車に乗りたいと我儘を言うので、どうにかこうにか準備する。
馬の恰好をした美鈴女史は置いておいて、馬車に主人を乗せようとしたら烈火の如く怒られた。
殺されるかと本気で思った。あまりに怒るので美鈴女史が止めに入ったくらいだ。


一体何事かとやってきたメイド長が話を聞いて、ようやく原因がわかった。
レディファーストという言葉がある。乗り物には女性を先に乗せるのがエチケットだと思っていた。
顕界では少なくてもそうである。 しかしヴァンパイアの主人の話ではレディファーストの成り立ち即ち
謂われに問題があるらしい。 


そもそもレディファーストとは、乗り物の中や外に暗殺者が居たときのために露払いとして女性を先に
行かせるのが目的であるというらしい。
つまり、女性を下位に見ているからこその行動だというのである。 
ヴァンパイアの主人にしてみれば、レディファーストは失礼というわけだ。


結局無知故の行動だと言うことでどうにか許しても貰った。
もっと勉強しろとメイド長に言われて返す言葉がない。


その後、会社に戻り朝倉たちと戦闘訓練をすることになったのだが、男性が先に行かなくてはと思って
前に出たら朝倉に制されてしまった。 的になる気かと言いたいらしい。
仕方なくレディファーストの話をしたら、気持ちは分かるが私が先に出ると言われてしまった。


先手を打って制圧しないと駄目という朝倉の言葉に、レディーファーストって何なんだろうと
心から思ってしまった。 女性優先って意味ではないことは確かだ。