□月 ●日  No1179 カミ様輸送


神無月ということで、毎度おなじみカミ様同士のサミットが開かれる。
流石になれてきたのである程度起こることも想定できるといったところなのだが
酔っぱらいを乗せた列車がまともな展開になるわけがなく、今回も一両半壊してしまった。


カミ様と言っても出自は様々である。 人間から神格化した者、獣から神格化した者
物が神格化したケースだってある。
人間が神格化した場合はまだ礼儀正しい場合がある。 これも確率が高いってだけで
駄目な者は駄目だ。


今日は、12両目でストリップ劇場を演じたカミがいて、それを見物しようと別のカミが
殺到、たちまち重心が狂って、列車がねじれてしまった。
力持ちの神様がどうにか崩れた重心を元に戻そうとしてどうにか纏まったが
列車のシャフト部は割れてしまい、修理が必要な状態だ。


整備の河童が何処をどうすればこうなるんだと文句を言っていたが
それは私が言いたいことだ。 静かに座ってるだけでどれだけ問題が解決するか
考えてほしいものだ。


存在自体がテロそのものなカミ様はVIP車両にいてもらう。
ほかのカミがぶーぶー文句を言うが、中にいるカミ様の名前を聞いたら概ね納得する。
貧乏神と厄神様だ。 どちらも存在としては無くてはならない存在だが。
特性上周囲に迷惑をかけるので隔離しているのである。
もっとも彼らはほかの酔っ払いカミ様よりも数十倍は礼儀正しいので
とても有り難い存在である。


ここで注意しないといけないのは厄を撒いているのは厄神様ではなく
酔っ払いのこまったカミ様である。 厄神様はその厄を引き受け浄化しているに
過ぎないのだが、浄化プロセスで色々起こる場合があるので隔離がいるのだ。


かくしてサミットは開催され ラッシュはとりあえず解消に向かっているのだが
仕事は終わらない。
遅刻したカミ様が、俺はカミ様だから急げと無理を言うのだ。
カミ様だけに無理を通すことができると思っているのだろうか。
天狗の飛脚に頼むくらいの才覚はないのかと問いたい。


言いたいことはわかる 天狗の飛脚は落ちたら確実にあの世に行けるのだ。
カミ様だからあの世なんて関係ないと言いたいのだが
そんなことをしたら痛いじゃないかと言うカミ様を見て
説得しようという考えそのものが間違いだと気づいた。