□月 ●日  No1216 大陸型妖怪の知恵


美鈴女史に渡した個人的に荷物。それはバターである。
てっきり、パンにでもつけるのかと思ったらなんと身体に塗るためのものらしい。 
冬場、肌の乾燥から身を守る為に発注したようだ。
所謂お風呂の代わりということで、これをつけていればお風呂は
あまり入らなくていいという。


幻想郷には古今東西色々な妖怪が集まることで知られているが、
今日紹介する妖怪は風呂嫌いな妖怪である。


風呂嫌いでポピュラーと言えば死体運び猫や式神系妖怪と相場が決まっている。
特に式神は、御札が濡れて式神として維持できなくなるからである。
もっとも最近はラミネート掛けの御札があり、以前ほど水に対して
シビアになる必要はない。


風呂嫌いな妖怪は概ね大陸出身妖怪である。
美鈴女史も紅魔館にやってきたときはお風呂に入りたがらなかったらしい。
大陸、特に砂漠地域などを根城にしている妖怪達は身体の脂分が
なくなることを嫌う傾向がある。
身体が乾燥することは致命傷だからだ。


紅魔館にやってきた美鈴女史はそこにある沢山の水に驚いたらしい。
そこからお風呂に入るようになるまで一悶着あったそうだ。
実際、砂漠地帯にいる妖怪達は太陽暦一年に一回程度しか入浴しないのである。


余談ではあるがナズ軍曹がお風呂が嫌いという噂がある。
実際はそんなことはなく、たぶん雄雌を間違っていると思われる・
また雄は本当のところ決して風呂嫌いではなく単に沸かすのが
面倒、正確には浴室のメンテナンスが嫌いなだけである。


そこのところナズ軍曹に尋ねると、配下のネズミが
風呂の湿気で腐朽した地域を移動して中毒症状に掛かるからだという。
長年の疑問が解決した瞬間だった。