□月 ●日  No1305 幻想EXPO


幻想郷無縁塚付近に謎の建造物がやってきたと言うので様子を見に行ったら
顕界のものにしてはデザインが妙に未来的で一体どういう建造物か答えられずにとぎまぎしてしまった。
未来的だけどちょっとバタ臭い、そして技術的に古めかしいデザインである。


鍵を無理矢理こじ開けると中に広がっていたのは様々な展示物。
電気が通っていないので辺りは暗くまるでお化け屋敷のような雰囲気だが
保存状態は至って良好のようだった。


程なくして私が送った映像から建造物の正体が判明する。
どうやら万国博覧会のパビリオンそのものが幻想入りしたとのこと。
未来の建造物にしてはモニターはブラウン管だし、展示表示のデザインもどこか
歴史を感じさせる。 まるでタイムスリップでもしたかのような感覚である。


ふと面白いことを考えたので河童を呼び出してみる。
建造物を見るなり河童達の目が輝いていた。早速、このパビリオンに電気を通すことにした。
実は無縁塚は外の物が漂着する関係で、それが実稼働するか確認するために電源モジュールが
随所に隠されているらしい。 無縁塚には色々危険な魑魅魍魎もいるのだが
彼らの対策を兼ねているという話もある。


ほどなくして簡単ながら電源接続工事をすると、パビリオンが煌びやかな電飾に包まれた。
河童達も無縁塚にいる誰が見てもヤバい魑魅魍魎にいたるまで皆で「おおっ」って叫ぶ。
早速中を見ていると展示物の正体が色々判ってきた。


説明が面倒なので館内放送の説明文も同時に流す。 
科学的な話なので幻想郷の人々にはなじみが薄いと思いきや、顕界からやってきた幽霊の類や
妖怪が結構居るようで、中には実体がないのに涙を流す者もいた。


結局このパビリオンは数日間は置いておくことで話が纏まった。
しかし置きっぱなしはいろいろまずいので後日、中のものを引き上げてから解体するとのこと。
硝子板など河童達がみると魅力的な材料がいっぱいあるという。
盗む奴は恐らく居ないだろう。 なにせここは危険で五つ星の無縁塚なのだ。


しばらくの間幻想郷住人を楽しませる施設になりそうである。