□月 ●日  No1980 大迷路


仙人様(比較的まともなほう)への迷路改修を頼まれる。
この迷路。元々は月面で足りない国土を広く見せるために作られた技術であるが
周辺からの侵入を阻む目くらましにも利用される。
この正体は一種のドームみたいなものと考えていただければ良い。
我々はGPSで場所を把握しているのであまり問題とはならないが
住民たちにすれば良い目くらましだ。


だが経路の敷設は些か面倒だ。仙人は定期的な再構築を希望しているが
再敷設にはそこそこの土木工事が必要だ。ルートを構築するための魔術装置をあちこちに埋めないとならない。
装置を埋めるとそこの住民に立ち退き要求しなくてはいけない。
当然補償も必要となる。小型動物でも人間並みの知能を持ってもおかしくない幻想郷では
良くある話である。


ルートを覚える件に関してはパターンを設けて暦で変更できるのが望ましいが。
彼女のペットはそうはいかないだろう。
その都度覚えるのは骨が折れるというより、人間でも間違いなく間違える。


また、その都度調教をかけるのも面倒なので、次の提案をすることにした。
一定の日数になったら誰用のルートと分ければよいのだ。
ルートは今までの結界から何パターンかに分けて設置。
これによって一応は大丈夫になるはずである。


かくして再敷設されて、結界が動き出したのだが。


あまりにパターンが増えたため案の定帰れなくなった仙人が山で彷徨う場面に
出くわして頭が痛くなった次第。 救援の動物も道に迷い酷い状態に。
だったら自分でやれよと思う。
資料を渡して、当座の食い物を返してようやく問題は解決した。

金だけ掛かっただけのような。