2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧
岡崎が氷妖精たちになにやら話をしている。 一緒に聞いていたらこれがことのほか面白い。 昔、春を呼ぶ妖精と、ご飯をつくる妖精がいたという。 そのころの妖精はとっても小さくて目にも見えない姿だったそうな。 ところがご飯をつくる妖精は頑張りすぎて、…
紅魔館の門番である紅美鈴。 冴月のレポートによると外の世界でも即実戦に耐えうる 高いポテンシャルを持っている。 特に脚力の高さは驚異的であり、100メートルを9秒フラットで走破した記録がある。 陸上トラックではなく、障害物のある地面で、さらに…
朝倉が、世界最初に結界を生み出したという者に会わせてくれると言う。 私はてっきり隙間妖怪のことだと思っていたからびっくりした。 隙間妖怪以上の大物がいるのだろうか。 なんともいえない緊張が走った。 しかもその者はすでに我々の会社にいるというの…
普段は事務職の北白河だが、現場の空気を学ばせるためということで 香霖堂への納品を手伝わせてみる。 挨拶して自己紹介して握手する。 大体こんな流れだ。 そして早速業務に入った。 北白河はあくまで事務的に仕事をこなす。 納品内容が春画でもお構いなし…
その少年はちょっとおつむが足りなかった。 奇声を発してはあちらこちらを闊歩している姿を 私も何度も目撃していた。 幻想郷だからと言って、健康な人間ばかりが住むとは限らない。 いつものように薬屋に薬を納品していると、その少年が突然乱入して 暴れる…
冴月による軍事教練。 訓練はかなりきついが、社員教育の一環として実施されている。 他の会社でもセミナーなどを使って社員教育をしているところもあるそうで、 うちの会社はそれを自前でやっていると思えばよい。 妖怪とやりあうために必要な武器はライフ…
うちの会社の取引先が急に取引停止になったらしい。 取引先の社長宅に借金取りが押し寄せたのだが、その時債権譲渡をかけられ うちの会社に直接売掛金を請求に来たらしい。 返済者がお金を返せないで金融機関の人が途方にくれた場合、その中に 債権を安く買…
以前注文のあった化学肥料を風見氏に届けにいく。 笑顔を絶やさないその姿は、確実に危険な香りがする。 そんな風見氏が、なにやら花に向かって弾幕を放っている。 たちまち花が切り取られ地面には花びらが舞い散っていた。 とうとう意味消失前の異常行動が…
紅魔館にはトイレがなかった。 結界の外の世界では洗浄便座すら標準となっているのにも関わらずである。 これには理由がある。 まず、ヨーロッパでは水が貴重であることが挙げられる。 それに水は基本的に淀んでいる。一方で幻想郷は岩清水の文化である。 ま…
ある植物の運び出しに追われる。その植物とは南天である。 南天といえば「難を転ずる」を意味する赤い実をつける植物である。 一般に風水の世界では鬼門と呼ばれる場所に植えることで 家に対する災厄から身を守る効果をもつという。 もののいわれが重要視さ…
妖怪たちに葬式は存在しない。 彼らは意味消失するだけである。 もともと幻想によって存在を維持していると言われる妖怪たちは、縁や念が途切れると 簡単に自壊してしまう。 だからこそ博麗大結界が存在するのだ。 そんな妖怪たちが何故か葬式ごっこをしてい…
霊能局との定例会。 この定例会が始まった理由は今から30年ほど遡る。 うちの会社になにも断りもなく、幽霊の移民計画が実行に移されたことがあった。 当時、冥界では大戦の影響もあり人口密度が急激に増加しており暫定的とはいえ 周囲への根回しのないま…
普段は幻想郷への輸送業務が主だったが最近は総務的な仕事も入ってくるようになった。 今日は興信所の人間と会う。 どこの会社でもそうだが中途採用の場合その人物が何故前の会社を辞めたのかなどを 確認するために興信所を使うことが多い。 たとえばノンバ…
環境に適応することは生命にとって自然の摂理である。 だが適応の果てにあそびがなくなった種に未来はない。 最近、博麗大結界が巨大化または強化の方向に進んでいるが、ところどころで結界にほころびも出来ている。 結界は本来もっとしなやかなのだが、まる…
我々は幻想郷での商売を生業としているが、我々でもわからないこともある。 それは隙間妖怪たちの住処である。 基本的に移動しているため完全に位置を特定できたためしはない。 ただ、うちの会社とはホットラインで繋がっているため、衛星を通して大体の位置…
いつも戦闘やら雑用やらで白玉楼のお庭番の服装はすぐに痛んでしまう。 実はこの衣服が、京都大学付属中学の制服だったことを今更ながら知った。 何故か? 実は今年この制服がモデルチェンジしてしまったせいで問屋からの納品がなかったからである。 古い制…
会社に与党である民自党の後援会の人間がやってくる。 うちの会社も民自党に政治資金を提供しており、時折後援会主催のパーティの招待状なんかが 会社に届いている。 ボスは仕方なしに出席しているようだが、 朝倉や北白河はセクハラだらけの立食パーティが…
朝倉が面接官の仕事をめんどくさがるのでよく私と魂魄が面接官の代行をやらされる。 北白河に言わせると、朝倉の姿を嘗め回すように上から下へ見る視線が嫌らしい。 今日は幻想郷ではなく外で働く学生バイトの面接である。 要するに普通の検品業務だ。 学校…
妖怪たちが社会に浸透するための手段は意外なほど多い。 一般的な発想では戸籍を買うといった方法しかないと思ったら、実際はそうではないらしい。 仏国では外人部隊という制度がある。 ここで一定期間働くことで仏国の国籍が手に入るのだ。 妖怪たちは自分…
一般的な会社なら今頃は暇な筈なのだろうが、我々の会社では今が商売のひとつのピークとなる。 今年も花見のシーズンが到来したからだ。 幻想郷では娯楽があまりないので、ここぞとばかりに 妖怪たちも人間も大宴会を始めるのである。 たちまち幻想郷の食料…
雨の中納品を続けていると偶然、霧雨のご息女が前を通った。 雨の中ご苦労なことだと思いながらそのまま進んでいると、なんと引き返してきたようである。 顔を見てみると、赤い髪の毛のみたこともない人物だった。 私がきょとんとした表情で見ていたら、その…
その日は朝から生憎の雨であった。 湧き上がる雨の匂い、汗が蒸発できずに体を包み込むのを感じる。 私はしがないジャーナリストである。 毎日、情報を右から左へ加工させながら流通する仕事である。 そんな私のちょっとした楽しみは、世界の仕組みについて…
会社に出社すると、ボスが正装で出かけるところであった。 車に乗り込むところを見守っていると、私を手招きするジェスチャーをしてきた。 ボスは昔世話になった軍幹部と会うらしい。 その軍幹部が脳溢血のため緊急入院したのは今から1ヶ月前のことである。…
うちの会社の古参メンバーはみなそろってババ臭い。 スタイル抜群のボスはドロワーズを穿いていて 度肝を抜かれたが、冴月に至っては股引を着用しているのが発覚した。 朝倉は社内が禁煙なので、外でよく煙草をふかしいているくせに、お肌が荒れていることを…
閻魔様がボスのホームパーティのお礼に手料理をご馳走するらしい。 ボスの家の厨房を借りてカレーライスを作り始めたが数刻もたたないうちに目に涙をためてもどってきた。 ボスのキッチンの高さは約85センチ 閻魔様の身長は低く、このままではシチュー鍋を…
はじまりは犬だった。人類の化学の発展のためにたった一匹で宇宙へと旅立った犬が消失した。 はじめは大気圏の再突入や何かの衝突によるものと考えられていた。 だが、妖怪たちはそれが月に棲む知的生物によるものであることを知っていたのである。 当時妖怪…
幻想郷においては魚を採るだけでもとんでもない手間がかかる。 外の世界では放流の魚が主流のためか人間に対してあまり警戒感を持たないのだが、幻想郷ではほぼすべての魚が 天然ものである。 当然ではあるが、たとえば餌をつまむにしてもこちらにアタリを察…
薬屋から、詐欺師兎とブレザー兎に関して警告を受ける。 うちの会社のミスではなく、発情兎の対策についてである。 普段は薬屋が用意している専用の薬品で発情状態を抑えているのだが在庫切れを起こしたらしい。 色々と間違いが起こるといけないので、臨時列…
妖怪たちはみな大結界の中にいるというのは大間違いである。 中には外の世界で居場所を見つけたものや、新たに生まれ出る妖怪もいる。 幻想郷にいることで活力を奪われることを警戒する者や幻想郷を自分たちの隔離施設と考える者 冴月や隙間妖怪の術から外れ…
結界の外の世界では妖怪たちはしばしば資源扱いとして見られる。 といっても、奴隷のように使役されるのではなく、その能力を見込まれVIP待遇で囲い込んでいると いうのが正しい。 従って妖怪たちを国外に連れ出すことは兵器やコンピューターを海外に持ち出…